■ヘリコバクター・ピロリ菌除菌が11月1日より保険適用
中医協は10月27日の総会で、「ヘリコバクター・ピロリ感染診断及び治療に関する保険上の取り扱い」を原案通り了承。これまで保険適用外となっていたピロリ感染診断のための検査と、ピロリ菌治療のためのランソプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシンの三剤併用の保険上の取り扱いを明確化した。
除菌前の感染診断は1種類の検査のみ算定し、その結果、陰性となった患者に別の検査を再度実施した場合に限ってさらに1回限り算定可としている。
厚生省の試算によると、我が国の胃・十二指腸潰瘍患者約116万人のほとんどがピロリ菌に感染しており、今回の保険適用による医療費増加額は「300億円余」だが、ピロリ菌除菌で潰瘍の再発が抑えられるようになれば、それ以上の医療費削減が見込まれるとしている。
11月1日から保険適用となるピロリ感染診断のための検査と医薬品、その他の検査は別表の通り。
ヘリコバクター・ピロリ感染診断及び治療に関する保険上の取り扱い
1 対象患者
内視鏡検査または造影検査において胃潰瘍または十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者のうち、へリコバクター・ピロリ感染が疑われる患者。
2 検査法
(1)迅速ウレアーゼ試験 (2)鏡検法 (3)培養法 (4)抗体測定 (5)尿素呼気試験
3 除菌前の感染診断
1の対象患者に対し上記の5項目の検査法のいずれかの検査を実施した場合に1項目のみ算定。ただし、検査の結果、陰性となった患者に対して異なる検査を再度実施した場合に限り、さらに1回に限り算定可能。
4 除菌治療
ヘリコバクター・ピロリ陽性であることが確認された患者に対し、薬事法上承認されている薬剤を同法の承認事項に従い、3剤併用・7日間投与する。
5 除菌後の感染診断
(1)除菌治療終了後、4週間以上経過した患者に対し検査を実施した場合に算定。取り扱いについては、3の除菌前検査と同様。
(2)除菌後の感染診断において、陽性となった患者について再度除菌を実施した場合は、再除菌および再除菌後の感染診断に係る費用を1回に限り算定。
6 感染診断実施上の留意事項
(1)ヘリコバクター・ピロリに対する静菌作用を有する薬剤が投与されている場合は、当該静菌作用を有する薬剤投与中止または終了後4週間以上経過していること。
(2)抗体測定を実施する場合は、除菌終了後6か月以上経過し、かつ、除菌前の抗体測定結果との定量的な比較が可能であること。
7 実施時期 8 その他
2000年11月1日から新たに保険適用となる臨床検査
測定目的 |
測定項目 |
測定方法 |
点数 |
ヘリコバクター・ピロリ感染症の診断 |
迅速ウレアーゼ試験 |
ウレアーゼ法 |
70点 |
ヘリコバクター・ピロリ抗体 |
LA法、イムノクロマトグラフィー法 |
70点 |
ヘリコバクター・ピロリ抗体精密測定 |
EIA法、ELISA法 |
70点 |
インフルエンザ感染の診断 |
インフルエンザA/Bウイルス抗原 |
光学的抗原抗体反応(OIA法) |
190点 |
骨・カルシウム代謝異常の診断 |
骨型アルカリフォスファターゼ |
放射性免疫測定法(IRMA) |
200点 |
ヘリコバクター・ピロリ除菌剤に係る薬事法承認事項
(1)効能・効果
ランソプラゾール
「胃潰瘍または十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助」
アモキシシリンおよびクラリスロマイシン
「胃漬瘍または十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染」
(2)用法・用量(三剤共通)
「通常、成人にはランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリンとして1回750mg(力価)およびクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。」
(3)使用薬剤
(1)成分名:ランソプラゾール
販売名:タケプロンカプセル15、同30(武田薬品工業)
(2)成分名:クラリスロマイシン
販売名:クラリシッド錠200mg(ダイナポット) クラリス錠200(大正製薬)
(3)成分名:アモキシシリン
販売名:アモキシシリンカプセル「トーワ」(東和薬品) アモピシリンカプセル250(大洋薬品工業) アモリンカプセル125、同250、同細粒(武田薬品工業) サワシリンカプセル、同錠250(昭和薬品化工) パセトシンカプセル、同錠250(協和発酵工業) ワイドシリン細粒200(明治製菓)
ヘリコバクター・ピロリ感染について
1 我が国のヘリコバクター・ピロリ感染率
胃潰瘍患者 94.3%
十二指腸潰瘍患者 98.7%
(European Journal of Gastroenterogy & Hepatology)
2 我が国の胃・十二指腸潰瘍患者数 3 除菌成功率(3剤併用療法、通常用量の場合)
胃潰瘍 87.4%
十二指腸潰瘍 90.7%
(臨床試験成績)
4 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発率(1年以内)
(1)H2受容体桔抗薬による維持療法を行っている患者 20〜25%
(2)除菌治療後にヘリコバクター・ピロリ陰性となった患者 2.0〜2.6%
(「消化性潰瘍治療薬のすべて」先端医学社1997年)
5 我が国の年齢別ヘリコバタター・ピロリ感染率
20代以前 |
13% |
20代 |
23% |
30代 |
32% |
40代 |
53% |
50代 |
63% |
60代 |
70% |
70代以降 |
73% |
(平成9〜11年度科学研究費補助金研究成果報告書)
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