しいたけ栽培法 「困ったぞ」の巻き
しいたけを栽培していると様々な問題がでてきます。
そのうち代表的なものを紹介します。
(1)ホダ木作り編
原木から芽が出て、やがて成長して葉っぱになった(2)ホダ木編(きのこが出るようになった原木)
ホダ木の皮が剥けやすく、すぐに剥がれてしまう(3)きのこ編
きのこが小さい
解答編
(1)ホダ木作り編
原木にしいたけ菌を植え付けて、育成中に、5月〜7月頃原木から芽が出てくることがあります。その芽はだんだん成長して、時には数十cmも伸びることがあります。これは困ったものです。なぜならしいたけ菌は死物寄生菌といって、枯れた木の中にしか成長できないからです。原木から芽が出て伸びるということは原木の元気が良くてなかなか枯れないということです。そうなるとしいたけ菌は伸長できません。従って最終的に良いホダ木にならず、きのこの出る量も激減します。対策としては、やや乾き気味に管理するしかありません。梅雨などの雨が多い時期なら、トタン板のようなものを載せて雨をかけないようにします。林の中で育成している場合には、井桁積みにするなど通風を良くしましょう。
この症状も上と同じで原木が生の時に起こります。5月〜7月頃に芽が出る代わりにカルスが出てきたものです。芽が出るよりは多少はましですが、問題には違いありません。そのまま放って置けば上と同様にろくなホダ木にはなりません。乾き気味に管理しましょう。「白いもの」が何なのかが問題です。通常2種類あります。一つはしいたけ菌の場合、もう一つはトリコデルマの場合です。この二つの見分け方は非常に難しいです。私が見れば一目でわかるのですが(^^;、その違いを他の方に説明するのは大変です。白い色の時は見分けるのは難しいのですが、日数がたつと色が変わってくるので簡単になります。褐色になったらしいたけ菌、緑色になったらトリコデルマ菌です。しいたけ菌の場合:この場合はgoodです。しいたけ菌は通常原木の中に蔓延していくのですが、勢い余って外にも出てきたのです。そのまま今まで通りの管理を続けて下さい。しかし、上のような原木に芽が出ていたり、カルスが出たりしていたら要注意。この場合には、むしろ、原木が生きていてしいたけ菌が中に伸びられないと解釈できます。幸いにもしいたけ菌は元気いっぱいです。乾き気味に管理しましょう。
トリコデルマの場合:ご愁傷様です。トリコデルマが付着したしいたけ菌は死んでます。希に外側の方だけ死んでいて、内部が生きている場合がありますが、いずれにしろ大問題です。そして一度こうなったら手遅れです、その種駒はあきらめるしかありません。他の種菌に移らないようにしないといけません。
何故しいたけ菌が死んだのか原因をハッキリさせる必要があります。その理由によって対策が変わります。通常、しいたけ菌が元気ならば、トリコデルマの胞子が飛んできても、しいたけ菌が負けることはほとんどありません。何かの原因でしいたけ菌が弱ってくると、トリコデルマに負けてしまうわけです。「高温」「過乾燥」「直射日光」いろいろ原因が考えられます。早くしいたけ菌の住み易い環境してやることが大切です。赤飯を炊きましょう。こうなったら万歳です。これは上で述べたように、しいたけ菌が元気な証拠です。たまに水分過多の場合がありますが、とりあえずはほっと一息です。このままの管理を続けて下さい。上でも述べたように、これはトリコデルマです。そのしいたけ菌は死んでます。他の生きている種菌のチームワークで乗り切りましょう。そのきのこを触ってみて下さい。ゴムのような弾力がありますか?これはゴムタケという名の雑菌です。大きさはせいぜい2〜3cm位、見た目はグロテスクですが、心配はありません。このゴムタケがしいたけに害を及ぼすことはほとんどありません。また、ゴムタケが生えてくる環境はしいたけ菌にとってもちょうど良い環境です。このままの管理を続けて下さい。しかしゴムタケのキノコですので、雨が続いたり湿度の高い日が続くと腐ってきて、トリコデルマなどが付着するときがあります。この時は過湿ですので、乾き気味に管理しましょう。ちなみに、このゴムタケは食べられるそうです。三杯酢で食べると結構いけるとか。どなたか食べてみる勇気を持っている方いらっしゃます?
これはクロコブタケという名の害菌です。5〜7月頃には切り口面にうぐいす色の菌紋を見せ、やがて1年ほど経つと、黒いザラザラした5mmくらいの丸い子実体をたくさん作ります。かなりやっかいなやつで、被害も大きいです。この菌は伸長が早く切り口面に見えたと思ったら、かなり原木の中にまで伸びています。原木を切ってみると、墨を流したような黒い筋が見えます。これがクロコブタケの菌糸です。原木が高温などで急激に乾きすぎたりした後、雨をもらうなどして、過湿になったとき表面に出てきます。この害菌は原木自体が急激な乾燥に会うと入ります。従いましてホダ木作りを林の中など湿度の高いところで行えば比較的被害は少なくてすみます。クヌギに付きやすい害菌です。こいつが出たら、やや過湿気味に管理します。過湿気味にすることで一時クロコブタケ自体も元気になりますが、水を与えてやらないと、原木の中のしいたけ菌も弱ってしまいます。100%点のホダ木にすることは無理ですので、70点のホダ木を目指してがんばりましょう。
梅雨の頃に、原木表面の谷の部分にだいだい色の絵の具を流したような雑菌が出てくることがあります。次第に拡がっていって、だんだん原木の表面を覆うようになります。見た目はビロードのような感じです。これがダイダイタケです。(そのまんまの名前ですね)これは原木の水分が多すぎるとき、良く発生する害菌です。木材腐朽菌ですが原木の中の色はしいたけのような白色ではなく編み目がかかったダイダイ色をしていますので、一目でそれとわかります。この菌がしいたけ菌を殺すことはありませんが、雑草と同じでダイダイタケが蔓延した場所の栄養分は全てダイダイタケに盗られてしまいますので、しいたけの収量は減ります。こいつが出たらクロコブタケとは反対に乾かし気味に管理します。それもできるだけ初期に管理方法を変えましょう。手を打つのが早ければ、悪影響も少なくてすみます。
しいたけの種菌の頭に緑色の害菌が付けば、それは恐ろしいトリコデルマですが、こちらはペニシリウム(青カビ)です。抗生物質ペニシリンで有名なやつです。この菌自体はそれほど恐ろしくはないのですが、原木そのものが問題です。これは原木が過乾燥の時に出ます。それも相当乾いています。すぐに原木内の水分を補給してやる必要があります。もし原木に散水できる設備があればすぐにでもしてください。状況にもよりますが1日に数時間ずつ、1週間続けて散水するくらいの気構えが必要です。林の中に置いてあり、水をかけるのが困難なときは、地伏せにして下さい。そして原木が十分に水を吸うと、次第に消えていきます。原木の状態を教えてくれる指標雑菌として重要です。これは胴枯れ菌です。文字通り原木内の水分が少ないと、雨などをもらったとき、バネが原木の表面から押し出されるような感じで出てきます。これも上で述べた青カビと同じように、原木としいたけ菌に水を与えてやる必要があります。原木に水分を与えれば青カビと同様次第に消えていきます。過乾燥の度合いは青カビの時よりはましですので、水さえ与えれば比較的簡単に消えます。青カビと同様原木の状態を教えてくれる指標雑菌として重要です。しいたけ菌には害ではありません。
(2)ホダ木編(きのこが出るようになった原木)
皮が剥がれた所のホダ木の色を見て下さい。しいたけ菌が生きていればクリーム色〜鮮やかなダイダイ色をしています。もし死んでいれば黒っぽくなります。これは一目でわかります。ホダ木の皮が剥がれずに材にくっついているのはしいたけ菌がノリの役目をしているからです。しいたけ菌が死んでしまうと、「ノリ」が無くなってしまい、皮が剥がれやすくなります。ホダ木の一部分が死ぬこともありますが、全体が死んでしまうこともあります。皮の半分以上が剥けてしまったら・・・ご臨終です。堆肥にして下さい。ホダ木の育成中に原木の表面に付く白や緑の雑菌は青カビで適正な管理をすれば問題はありません。しかし、しいたけ菌が原木全体に蔓延したホダ木の表面に付く白や緑の害菌は問題です。これはトリコデルマの可能性が高いです。そしてこれが付いたホダ木はいずれしいたけ菌が死にます。上で述べたのように皮が剥がれはじめ、材の色も黒っぽくなります。ホダ木全体に出た場合、そのうちホダ木は全部死にます。長さはせいぜい1〜2cmくらい、風が吹いたり、ショックを与えると茶色いほこりのような胞子がたくさん舞い上がります。これは、ムラサキホコリカビです。ホダ木が年をとり、しいたけ菌が弱ってくるとちらほら見え始めます。しいたけやホダ木に対する影響は少ないので、無視しても大丈夫ですが、これが出たホダ木はご臨終間近かもしれません。しいたけはホダ木になれば乾燥には強いです。まったく水をかけなくてもかなり長い間(条件によっては半年くらい)生きています。しかし・・・・・相当弱っています。きのこを出そうとして、雨をかけたり浸水したりすると、トリコデルマが付きやすくなります。1〜2週間に一度くらい雨にかけるか、過乾燥を防ぐような場所で休養させるようにしたいですね。12月〜2月頃の直射日光なら、大丈夫です。当たってもホダ木が死ぬことはありません。しかし、気温が上がって、3月〜10月頃に直射日光に当てると、当たった部分のしいたけ菌が死ぬことがあります。林やガーデニングの中など木漏れ日であれば大丈夫ですが、直射日光はなるべく避けるようにしましょう。ホダ木には様々な虫が付きます。特にホダ木が年をとって、しいたけ菌が弱ったり、死んでいる部分があると、いろいろな虫が入ってきます。コクワガタの幼虫はしょっちゅう見ますし、たまにスズメバチの成虫が冬眠しているのに出くわすこともあります。シロアリもたまに入ります。どうしましょう?私は踏みつぶしてます。(3)きのこ編
しいたけは小さな物(3〜4cm)から大きな物(7〜8cm)位までいろいろあります。条件によっては20cm位になる物もあります。焼いて食べるには大きい方が美味しいので、大きい物が欲しくなりますが、なかなか思い通りには行きません。しいたけが小さくしか育たないのは、いくつかの理由があります。
(1)過乾燥・・・きのこの90%は水分です。乾きすぎますと、キノコは大きくなりません。この場合には、キノコの頭の部分が白っぽくなり、マスクメロンのようにひび割れることもあります。高温などが原因で、湿度が低いところで成長するとこうなります。しいたけの生長適湿は80〜90%です。この湿度を維持するのは難しいと思いますので、対策としては、乾いたらキノコに対に水をかけるのも一法です。かけるとすれば日中の高温の時は避けて、朝晩の涼しいときに散水して下さい。しかし、水をかけすぎると日持ちの悪いキノコになります。かけすぎないように!
(2)ホダ木の休養が十分でなかった・・・通常、一度きのこを収穫すると、1ヶ月(夏)〜40日(春、秋)の間休養をとらせます。この間はホダ木が乾きすぎないように定期的に(1週間に1,2度)雨に当てるなどします。こうすれば、次回の発生に必要な栄養分を十分蓄えることができて、キノコが大きくなります。ところが、休養中、「温度が低い」「温度が高すぎて、キノコの原基ができない」「水分が十分でなくキノコの原基ができない」等の理由で次回の発生に十分な休養がとれませんと、発生量が少なかったり、キノコが小さかったりします。対策としては、(温度)20〜28度位の場所で、雨に当てながら1ヶ月間おいておくのが理想ですが、それが難しい場合、休養期間を長くする(2ヶ月〜次の春まで)のも良いです。
(3)ホダ木の出来が悪く、原木の中に十分しいたけ菌が蔓延していなくて、キノコが栄養不足・・・これは困った物です。私の農園からお届けするホダ木はこうした物はありませんが、ご自分でホダ木を作られたり、ホームセンターなどでホダ木を買われた場合は、この可能性もあります。この場合には・・・・・あきらめてください。
(4)発生したキノコの数が多すぎる・・・1本のホダ木から出るキノコの数が多すぎると、キノコは小さくなります。では1本のホダ木から何個くらいが良いのか?と言われると、ちょっと難しいのですが、10〜15個くらいでしょうか。ただしこれはホダ木の太さ、しいたけを収穫した回数、菌を植え付けてからの年数、品種など、いろいろな要素が関わってくるので、一概には言えません。
(5)何回もしいたけを収穫した・・・何回もしいたけを収穫すると、ホダ木の栄養分が無くなってきます。従って、きのこの発生量も、大きさも小さくなってきます。これはどうしようもないですね。
しいたけは普通頭の部分が少し黒っぽく、ヒダや足の部分は白い色をしています。しかし条件によって、頭などの色が変わってきます。(1)きのこの頭が白い・・・これは上で述べたように、乾きすぎです。日持ちは良くなりますが、焼いて食べるとぱさぱさした感じで今一です。きのこも小さめになりますが、日持ちなどを考えると、ましな方です。
(2)きのこの頭が黒い・・・元々しいたけの頭の部分は黒っぽい色をしています。正常な状態で、適度の水分を含んでいますので、食べても一番美味しいです。
(3)きのこの頭が赤っぽい・・・品種によってきのこが赤っぽく見える品種がありますが、通常、きのこが赤っぽく見えるのは、水分が多すぎるときです。日持ちがしません。味はまあまあです。雨に長時間かかったり、多湿の時に成長したりするとこうなります。日持ちがしませんので早めに食べましょう。
(4)きのこのヒダの部分が茶色・・・ありゃりゃ。これは困りました。しいたけが傷んでます。茶色の部分は、出きればお召し上がりにならない方が・・・
しいたけには様々な虫が付きます。しいたけを食べる虫だけでも、私が名前を知らないものがいっぱい居ます。しかしそのほとんどは、きのこをたたいてやれば落ちてしまいます。虫の食痕があるからイヤ?・・・そうですよね。その時は食べるのをあきらめて下さい。残念!。次の収穫まで気長に待って下さい。ただし、腐ったきのこはとって下さいね。これにはいろいろな理由が考えられます。(1)暑すぎる・・・しいたけには発生適温があり、15〜28度くらいが適温の品種、10度くらいがよい品種、いろいろあります。品種に適した温度の時キノコを発生させて下さい。また、どんな品種でも最高気温が35度を超えると、きのこの発生量が極端に減ります。真夏、最高気温が35度を超えるようなときは、きのこの発生をあきらめるかのが無難です。冬にキノコが出やすい品種(10度くらいでキノコが出る品種)ですと、最高気温が20度を超えるような時期にはキノコは出ません。 品種の説明書を良く読んで下さい。
(2)寒すぎる・・・発生適温が15〜28度くらいの品種の場合、真冬にキノコを出すためには、かなり暖房の効いた部屋でホダ木を管理することが必要になります。
(3)ホダ木が乾きすぎた・・・しいたけの収穫を終えたホダ木は疲労困憊、疲れ果てています。この時適量の水を与えないと(または、乾かさないようにしないと)、次のキノコの発生に向けた、養分の蓄積が始まりません。希に乾かした方がよい品種もありますが、これは例外。ホダ木の休養中乾かさないようにして下さい。
(4)品種に適した発生操作をしなかった・・・キノコを出すためには、発生操作が必要ですが、品種によってやり方が多少違います。寒さが発生の刺激になる品種もあります。品種の説明を良く読んで下さい。
(5)ホダ木の熟度が十分でなかった・・・これは、ホダ木の育成段階で失敗したか、または、何らかの理由でホダ化が遅れて、発生操作の段階で、キノコを出すにはホダ木が不十分の出来の時に起こります。この場合は、1〜3ヶ月ほど発生操作を遅らせて、ホダ木の熟度を上げる必要があります。この間の管理は、「ホダ木の休養」時の管理と同じになります。ホダ木は定期的に雨に当てた方が良いのですが、キノコを雨に当てすぎると、日持ちが悪くなります。ただそれだけです。(^^;
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