木星の旅 創作余話
1図![]() |
未発表中編作の余詰め検討をしていたら、1図のような、飛合の繰り返し手順と、馬鋸の組み合わせを見つけました。 1図から 「22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、A21玉、43馬、12玉、32飛成、22飛合、同龍、同玉、32飛、13玉、33飛成、23飛合、同龍、同玉、33飛、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、・・・」とするループ手順と、「35馬、12玉、46馬・・・」とする馬鋸手順です。 この図では、24や23,22合駒変化が全然詰みませんが、この時点ではとりあえず理想手順の追求です。 A23飛成、22飛合・・・と言うループ手順も成立しそうですが、上の手順との兼ね合いで余詰めになりそうなので、こちらはあくまで参考に。 |
2図![]() |
ひょっとしたら物になるかなと思い、そのころ興味を持っていた複式馬鋸との合体を考え、適当に駒を配置してみました。2図。すると、なんとまあ、これがうまく行くではないですか。 2図仮想作意 22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、43馬、12玉、32飛成、22飛合、同龍、同玉、32飛、13玉、57馬、46歩合、33飛成、23飛合、同龍、同玉、67馬、57歩合、33飛、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、76馬、54と引、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、22龍、同玉、77馬、55と上、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、35馬、12玉、45馬、13玉、46馬、12玉、56馬、13玉、46馬、12玉、45馬、13玉、35馬、12玉、34馬、13玉 と、なんと1ループ76手で、その間に2回の飛車不成りと1往復の小馬鋸が入る手順です。しかも左馬鋸の往復も簡単そうです。うろ覚えですが、当時は「馬×馬」システムを持った作品も、(3)4段馬鋸の往復する作品もなかったはずでした。 右上の飛合繰り返し手順は1回事に1枚歩を消費するので、これを2回繰り返せば、2枚ずつ歩が減ります。ところがうまいことに、偶然、46と56の2カ所に歩合を発生させこれを右馬鋸で取る手順にしたため、歩の数も釣り合いました。ラッキーでした。 思いついた当時はさほど感じなかったのですが、今考えてみると、随分うまく行ったものです。後になって他の素材で試してみましたが、当然こんなに簡単には行きません。 この時、右上玉の移動位置は、13,22,31,32(21)、12(23)と5筋にも渡るので、うまく行けば左馬鋸は最大5段馬鋸が可能なはずです。そのために左馬鋸の防御駒は、と金1枚では無理だろうと思い、適当に64と55に2枚のと金を配置。またこれらの支え駒として51香と72桂を、さらに76馬の王手に65歩合が出来ないように61歩を置いてみると、またまたラッキーなことにこれが結果的には最良(?)の配置で、この5枚の駒はその後動かすことはありませんでした。 しかし、もう一度よく考えてみると、2図からいきなり57馬とすれば、余詰めでした。と言うより、上の仮想作意が虫が良すぎました。 そこで上の手順の贅肉をそぎ落としてみると、 仮想作意(2) A57馬、46歩合、22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、43馬、12玉、67馬、57歩合、34馬、21玉、76馬、54と引、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、22龍、同玉、77馬、55と上、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、35馬、12玉、45馬、13玉、46馬、12玉、56馬、13玉、46馬、12玉、45馬、13玉、35馬、12玉、34馬、13玉 という1ループ56手のダブル馬鋸手順であれば成立しそうです。 上の手順で左馬の移動時期はかなり自由度がありそうに思えます。 つまり、玉が13,22,31,32,(21)、12の各位置にいる時期がそれぞれ2回ずつあり、しかも相互乗り入れが簡単な場所があるからです。そのために余詰めまたは非限定箇所がありそう・・・と思って調べてみると、これが案外無いのです。 理由の一つは、玉が31に逃げる度に1歩を消費すること。駒消費型の馬鋸は自由度が限られるため出来れば避けたかったのですが、偶然にもこれが幸いして左馬の移動時期がかなり限定できたのです。 例えば、仮想作意のAでいきなり22龍以下攻めてみます。 A22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成(ここで67馬は3.1図)、21玉、43馬、12玉、67馬とすると、以下 56歩合とされて、以下作意と同じ手順で追うのは、「46歩」が無いため、明らかに1歩不足になります。また、 67馬、56歩合、34馬、13玉、68馬は46歩合で後に76-98ラインに馬を移動できません。 そしてもう一つの理由が、下の3.1図で示した「46歩」の存在です。 また、左馬鋸に対する応手には55と金、64と金の移動合いに加えて、4筋と5筋の複数箇所に歩合をする事が可能なので、かなり難しいのですが、これも偶然に限定されていました。深く考えずに試験的に置いた駒配置で左馬鋸の心臓部に当たる合駒変化が成立しているとは! 何というラッキーでしょうか。 そしてさらに3図・・・ |
3図![]() 3.1図 ![]() 3.2図 ![]() |
3図の仮想作意は、 57馬、46歩合、22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、43馬、12玉、67馬、57歩合、34馬、21玉、C76馬、54と引、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、22龍、同玉、77馬、55と上、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、35馬、D12玉、45馬、13玉、46馬、12玉、56馬、13玉、46馬、12玉、45馬、13玉、35馬、12玉、34馬、13玉=A手順 「2回目A手順」77馬・68・78・87・88 「3回目A手順」88馬・79・89・98・88 「4回目A手順」88馬・79・78・87・77 「5回目A手順」77馬・68・67・76・66 57馬、46歩合、22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33馬、41玉、42歩、52玉、34馬、A43桂合、同龍、62玉、B72歩成、同玉、73歩、62玉、54桂、同と引、72歩成、同玉、83龍、同玉、61馬、72歩合、84馬、82玉、94桂、91玉、92歩、81玉、82歩、92玉、93歩、91玉、81歩成、同玉、92歩成、同玉、93馬、同玉、71馬、83玉、82馬まで327手 なんとまあ。 上の2図に、馬鋸の目的として98歩を置き、左上辺に少し駒をおいたら、収束まで出来てしまいました。 右辺下方は「馬×馬」システムの合駒変化に使おうと思っていたので、上辺左辺に収束手順を求めたのですがこれほど簡単にうまく行くとは思いませんでした。 「57馬、46歩合」という、後のA43歩合を2歩禁で防止するための伏線手が入りました。これが全くの偶然・ラッキーです。 左馬鋸を98から戻すのは、収束で馬を84方面に使いたいからです。そのための位置が66なのですが、配置上、どうしても「57馬」の王手が成立します。これを余分な手としないためには「57馬、46歩合」に必然性を付けなければなりません。2歩禁を利用して得た「桂合」で収束がうまくまとまってしまったのですから幸運でした。 これが成立しないと、この収束手順で「57馬」とする手が限りなく余詰めに近い非限定と思いました。 またBでいきなり「54桂」と捨てては、「同と右」で詰まないので、いったん、 72歩成、同玉、73歩、62玉、 と、迂回手順を経てから54桂と捨てる(その1歩補充のための98歩奪取)伏線的謎解き手順も入りました。結局この手順は、後に余詰めが見つかり捨てましたが(残念!)、最後の最後まで気に入っていた手順でした。 そして大駒の2枚捨てなど、長編の収束とは思えないほどの手順を見つけてしまったのです。 この収束手順には変化紛れが少ないようですが、実は結構危ない順もあります。しかし、この時に配置した図で基本的にはほとんどが成立していたのです。 さらに3.1図 この局面は、上の仮想作意の「C76馬」の局面ですが、ここで、「54と引」ではなく「65と寄」とする手段があります。左馬鋸が遠ざかる局面では問題ありませんが、最後の5回目の戻り馬鋸で「65と寄」とされると、次に「66馬」と寄れず、収束に支障をきたします。 一時は頭を抱えたのですが、またまたラッキーにも、このままの図でその問題はクリアしていました。 つまり3.1図で「65と寄」ならば、「同馬」とします。これに「同と」、これで、「64と金」の63への効きが消えますので、3.1図から「65と寄」ならば 同馬、同と、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33馬、41玉、42歩、52玉、34馬、 と追って、「46歩」をあらかじめ発生させておいたおかげで、「43歩合」 が出来ず、早詰めとなります。 一方、紛れ順として、3図からいきなり 22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、65馬 とした場合どうなるか?(3.1図の46と56歩が無い図) この場合は、「65と寄」と受けます。 (54歩合や54と引では詰みます) 以下、同馬として上の変化順と同じように追うと、「46歩」が無いため、「34馬、43歩中合」で不詰めです。 ならば、 65と寄、43馬、12玉、32飛成、22飛合、67馬 と攻めるとどうなるか? この場合は、 56歩合、34馬、13玉、68馬に57歩成と強力なと金を作られて詰みません。(3.2図) 4筋に歩が無ければ「馬×馬」システムの変化紛れが成立しない構成は、収束手順はを得てから気づいたものですが、この4筋の歩のために、収束手順だけでなく左馬鋸の心臓部までもが偶然にも成立できたのですから、ラッキーもここまで来ると恐ろしくなってきます。 さらにラッキーその3。 3図での持ち駒「歩4枚」は2図や3図で右馬鋸の変化Dで「24合」をされたとき、(この時は持ち駒歩2枚になっています) 14歩(銀)、同玉、以下2枚の歩を使って詰むためですが、この持ち駒歩4枚がそのまま収束でちょうど使えたのです。歩4枚なんて言う持ち駒はともすれば持て余し気味になりがちですが、その歩の数までラッキーにもちょうど合っていたのでした。65歩合を避けるためには6筋に歩を置かなければなりませんが、その場所は61に限ります。その歩までもが偶然にも収束に役立っていました。 ここまで来れば初めに意図した5段馬鋸に未練はありません。往復の4段馬鋸に決定です。 この辺までは信じられないくらい順調です。 とりあえず理想作意手順を成立させるために置いた数枚の駒が、結果として何重にも変化と紛れを支えていたのです。ラッキー以外の何物でもありません。 あくまで仮想手順なので当たり前と言えば当たり前ですが、「馬×馬」システムの心臓部に当たる右馬鋸の24合駒変化や22合駒変化は、収束とは全く干渉しない右下がまるっきり自由に使えますから、完成も間近と思っていました。 ここまで1図を得てから数時間経過。 *2〜4図の右下部分配置にはあまり突っ込まないで下さい。とりあえず駒を配置したと言う程度です。今見ると、3図などは2歩ですね。(^^; |
4図![]() 4.2図 ![]() 4.1図 ![]() |
ここまで来れば、後は趣向の心臓部・右上部分の飛合繰り返し手順近辺と右馬鋸の24合変化の成立させればゴールは目の前です。 とりあえず4図。 仮想作意は A57馬、46歩合、22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、43馬、12玉、67馬、57歩合、34馬、21玉、76馬、54と引、43馬、12玉、B32飛成、a22飛合、34馬、13玉、22龍、同玉、77馬、C55と上、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、D21玉、43馬、12玉、32飛成、c22飛合、34馬、13玉、35馬、b12玉、45馬、13玉、46馬、12玉、56馬、13玉、46馬、12玉、45馬、13玉、35馬、12玉、34馬、13玉=A手順 「2回目A手順」77馬・68・78・87・88 「3回目A手順」88馬・79・89・98・88 「4回目A手順」88馬・79・78・87・77 「5回目A手順」77馬・68・67・76・66 57馬、46歩合、22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33馬、41玉、42歩、52玉、34馬、43桂合、同龍、62玉、E72歩成、同玉、73歩、62玉、54桂、同と引、72歩成、同玉、83龍、同玉、61馬、72歩合、84馬、82玉、94桂、91玉、92歩、81玉、82歩、92玉、93歩、91玉、81歩成、同玉、92歩成、同玉、93馬、同玉、71馬、83玉、82馬まで327手 この中で成立させねばならない主な紛れは。 A33龍、23合駒・・・これを逃れるためには2筋に歩合の余地を残さねばなりません。 B22龍、同玉、32飛、13玉、14歩、同玉、で25馬・・・と、34飛成・・・(これがやっかい)の二つの紛れ順。 C55同馬、同香、23飛、31玉、32歩、同玉、33馬・・・以下の紛れ順 D23飛成に対して、22金合で逃れるようにする。 変化順としては a22他合 b24合駒(これもやっかい) c13玉、の変化・・・ このcの変化は上の紛れ順Bの22龍、同玉、32飛、13玉、と似ています。違いは「22龍」と「22飛」だけです。上の変化紛れ順で最も干渉が大きい部分と思いました。 ところがこの違いも比較的簡単に解決できました。 つまり、変化順c13玉の場合は、「22龍」ですので c13玉、14歩、同玉、25馬、に同玉と取らざるを得ず詰み型に出来ます。 一方、紛れBでは22には「生飛車」ですので 22龍、同玉、32飛、13玉、14歩、同玉、25馬、に23玉(4.2図)とよろけて、これが意外にも詰みそうで詰みません。 この辺まではまだラッキーが続いていました。 上の紛れと変化を両立させるのは結構難しそうですが、それぞれは基本的には大きな干渉はありませんので可能なはずです。 まとめると、22香合変化に備えて香合を売り切れに、また収束の72銀合変長手順等に備えて、可能であれば銀合も売り切れにして、残る「金」と「桂」の合駒の余地を残しての手順成立です。 しかし、これまでの順調さとは裏腹に今度は困難を極めました。 時間を浪費するばかり。 例えば4.1図 かなり変化紛れ順が成立するようになっています。 が、まだまだ。 この図を得るまで、創作開始後約7ヶ月かかったのですが、それでもこの程度です。 そして、収束部分にも欠点を見つけました。 E単に54桂が成立しています。これを成立させるためには「玉方74歩」を置けば良さそうですが・・・ 3図までの順調さに比べて、この辺の渋滞ぶりは情けないくらいです。だんだん創作モチベーションが下がってきました。 よくよく検討してみると、他の箇所にも穴が目立ってきました。 初めは干渉しないと期待していた左上(収束部)と右下(趣向の心臓部を支える部分)にも、だんだん余波がかぶって、一部の変化や紛れの中には、右辺から左辺まで王さんが動き回る手順が出てきました。 この頃になると、盤に向う時間もめっきり減ってきました。 間を何ヶ月もあけると、忘れかけた主要な変化と紛れをもう一度頭にたたき込まねばなりません。それが終わってからまた試行錯誤の繰り返しで、能率も悪くなってきました。 |
5図![]() 5.1図(変化図) ![]() 5.2図(紛れ図) ![]() |
そして平成3年3月20日、「馬×馬」システムの心臓部で致命的な余詰めを見つけてしまいました。 それが5図です。仮想作意は 57馬、46歩合、A22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、・・・ですが A35馬!とする手です。 これに、12玉なら67馬、56歩合、34馬、13玉、・・・として明らかに作意に短絡します。非限定を通り越して余詰めでしょう。 目の前は真っ暗。 これを避けるためには、35馬に対して24合駒で応ずるしかありませんが・・・ つまり、5.1図(変化図)と5.2図(紛れ図)の24合駒で5.1図を詰むようにして、5.2図は詰まないようにする必要があるのです。 こんな事が可能か??? 変化図の方は、左馬位置が遠い、歩の数が最大3枚少ない、24合駒の変化に使おうと思っていた右下部分から左馬筋が紛れ図より1路遠い、など、何一つ良いことはなさそうです。 さらに、5.1図は変化の1例です。実際には、「46歩と56歩がない図」「46歩のみ無い図」「左馬位置が66と77の場合」「98歩のない図(この時は持ち歩が1枚増えますが)」そしてそれらの組み合わせも全て詰まさねばなりません。 (実際、9図(完成図)では、「46歩」が無い場合、変化手順が変わる場面があります。) また、5.2図(紛れ図)では、右下方面に玉を追った場合、左馬が大変な好位置にいます。この5.2図(紛れ図)を不詰めにして、5.1図(変化図)を詰まさねばならないのですから大変です。 初めに思いついた案は、5.1図、5.2図でで24金合を境界にすると言うものでした。 つまり、5.1図から 35馬、24金合、同馬、同玉、22龍、23合駒、35金、同玉、33龍・・・と、中空に追い出し、左馬が66-88ラインにいることを利用して、45に駒を打てることを活用した詰め手順、または、玉を34-45-54-65と逃亡させて、87馬として詰める順の2案です。 しかしいずれの手順も、紛れ図の馬位置が強すぎて余詰めだらけ。 この24金合案はちょっと無理そうでした。 木星の旅の馬×馬システムは実現不可能かと思い始めたのはこの頃です。 創作ペースがさらに遅くなりました。 1年以上盤に向かわないこともありました。 |
6図![]() 6.1図 ![]() 6.2図 ![]() |
どうせならこれを機会にと、全ての余詰め筋を検討してみました。 するとやっぱり出てきます。 収束部、余詰めがありました。 6図収束部分 57馬、46歩合、22龍、同玉、B23飛、31玉、32歩、同玉、33馬、41玉、42歩、52玉、34馬、C43桂合、同龍、62玉、A72歩成、同玉、73歩、62玉、54桂、同と引、72歩成、同玉、83龍、同玉、61馬、72歩合、84馬、82玉、94桂、91玉、92歩、81玉、82歩、92玉、93歩、91玉、81歩成、同玉、92歩成、同玉、93馬、同玉、71馬、83玉、82馬まで A45馬、53歩合、同馬、同龍、72歩成、同玉、52龍、73玉、D53龍以下余詰め この順を逃れるため、やむなく双玉を決意。85銀を玉に変えてみました(74歩も削除、6.1図)。D53龍に対し63角の逆王手で逃れようと言うものです。またこれは、別の余詰め順(6図Bから、55馬・・・)の筋を、52角合の両王手で逃れる手や、相手玉が83にいる場合「85銀」配置だと「84銀」とする余詰め筋がありますのでこれを防ぐのにも役立っています。 ところが、どうにも歯車が少しずつ狂ってきています。 収束部、6.1図(82歩型)では、 C43桂中合で62玉と逃げて不詰め(しばらくの間、「43桂合」の前後で作意を区切って作図していたため、この手をうっかりしていました) 5.2図(91金型)では2種類以上の余詰め 6.1図から「82歩」の無い形でも不詰め こうなると最初に意図した理想収束のAから 72歩成、同玉、73歩、62玉、54桂、同と引、72歩成、同玉、83龍・・・ で、「72歩成、同玉、73歩、62玉」の部分を捨てねばなりません。 それが6.2図 手順は、 34馬、43桂合、同龍、62玉、54桂、同と引、72歩成、同玉、83龍、同玉、61馬、72歩合、84馬、82玉、94桂、91玉、92歩、81玉、82歩、92玉、93歩、91玉、81歩成、同玉、92歩成、同玉、93馬、同玉、71馬、83玉、82馬まで。(完成図の収束手順です) 今までの理想収束と比べると、味がかなり落ちていますが仕方ありません。 そしてこの収束では、持ち歩の数が今までよりも1枚少なくなります。 つまり、6図などで全体の持ち歩の数を、1枚減らして4枚に、5図基本形であれば、持ち駒歩3枚にしなければならなくなりました。 これは、4図や5図などで変化手順の成立に大きな影響を及ぼします。今まで、5図の変化などでは、持ち歩を使い切って詰める順があったからです。 5.1,5.2図と相まって右下方面の変化紛れ順の大改革です。 右馬鋸の24合駒変化など、根本的に詰め方を変えねばなりません。 しかし、この収束を変えたことが結果として幸運を呼んでくれました。 |
7図![]() 7.1図(変化図) ![]() 7.2図(紛れ図) ![]() 7.3図 ![]() |
さらに2年ほど経過。 遂に光明が見えました。 7図です。 今までの図(6図など)は、右馬鋸の24桂合変化で持ち歩が最低2枚必要でした。 しかし、6.2図の収束型にしたため、この桂合変化でも持ち歩を最低1枚の時も詰むようにしなければなりません。そこで、この桂合変化をいじっていると・・・ 発見! 「馬×馬」システムの心臓部、右馬鋸の35馬に対し、24桂合で応じる手です。(7図) 以下、 14歩、同玉、36馬、同桂、16香、15角合、34龍、24飛上、15香、同玉、24龍、同玉、36桂、33玉、の時に、「45桂」の手だけ(7.1図)で詰むようにすれば、5.1図と5.2図の変化紛れを両立できます。 7.1図(変化図)であれば、66-88ラインに左馬が居るため、「同と」と取れません。7.2図(紛れ図)の場合は「同と」と取ることが出来て、これなら余詰めはなさそうです。 しかし、この変化と紛れは膨大でギリギリです。 7.2図(紛れ図)では、「45桂」ではなく、24や44からの角打ちもあって簡単ではありませんし、何よりそれより前の局面で危ない紛れ筋がたくさんあります。 右馬鋸で46歩や56歩を取ったときの変化も少しずつ変わってきそうです。 また、下手をすれば、左上方面の収束にも障ってきそうです。 ところがこの頃ラッキーにも「柿木将棋5」の噂を聞きました。 早速購入。 7図の変化検討と、7.2図の余詰め検討です。 残念ながらそのころの私のPCは貧弱だったため、7図の局面から解かせてみると、丸1日かけても答えは出ませんでした、が、それでも、大変助かりました。 7図からの変化を、樹形図にして、1個1個つぶします。 そして遂に7.3図、基本の最終型に到達です。 作意は、 57馬、46歩合、22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、43馬、12玉、67馬、57歩合、34馬、21玉、76馬、54と引、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、22龍、同玉、77馬、55と上、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、35馬、12玉、45馬、13玉、46馬、12玉、56馬、13玉、46馬、12玉、45馬、13玉、35馬、12玉、34馬、13玉=A手順 「2回目A手順」77馬・68・78・87・88 「3回目A手順」88馬・79・89・98・88 「4回目A手順」88馬・79・78・87・77 「5回目A手順」77馬・68・67・76・66 57馬、46歩合、22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、33馬、41玉、42歩、52玉、34馬、43桂合、同龍、62玉、54桂、同と引、72歩成、同玉、83龍、同玉、61馬、a72歩合、84馬、82玉、94桂、b91玉、92歩、81玉、82歩、92玉、93歩、91玉、81歩成、同玉、92歩成、同玉、93馬、同玉、71馬、83玉、82馬まで323手 aこの時点では72歩合を作意としていました。しかし、72歩合ではb91玉で81玉と逃げて、以下限りなく作意と似ている同手数変化があります。これを嫌って、詰めパラ投稿時は、72桂合を作意にしました(歩合と桂合で非限定箇所ですが、桂合の場合は玉の逃げ方が、b81玉に限定されます)。しかし、72歩合を作意とするのが普通でしょうか? とりあずここで第1回目の全体検討をしてみました。 ところが、7.3図を柿木5様に解かせてみると、解けないのです。 7図の24桂合変化が1日で解けなかったくらいですから、予想は出来たのですが、数日間、コンピュータをかかりきりにしても結局だめでした。 そこで、手順を分解しての検討です。 大局的な部分は私がやって、細かい部分とうっかりしそうな部分を柿木様に手伝ってもらいました。 たぶん、1ヶ月以上かかったかと思います。 結果、不完全部分は見つかりませんでした。 |
8図![]() |
ところで、7.3図はかなり逆算できそうです。 例えば、7.3図の持ち駒の歩を56に置けば、それだけで右馬鋸が入ります。これに加えて、左馬も小さな動きは入りそうですので、これだけで数十手の逆算になります。 一応これでも作品にはなりそうですが。 他には? 右上の玉は13,22,31,32,(21)、12(23)と5筋に渡って移動するのは前に述べたとおりです。ならば、せっかくですから、31へ玉移動を利用して、左馬で新たな馬鋸が出来ないか?うまくできればこれは3段馬鋸にはなりそうです。 いろいろ考えましたが、ダメ。 仕方ないので、左馬を87あたりから1歩消費型馬鋸で近づける手順を考えてみました。 7.3図に「玉方57歩」を置きます(左馬を近づける目的です)。さらに余詰めを防ぐため「玉方45歩」も置いてみました。(8図) 仮想作意は8図から 22龍、同玉、23飛、31玉、32歩、B同玉、A87馬、54と引、33飛不成、C21玉、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、22龍、同玉、77馬、55と左上、23飛、31玉、32歩、同玉、76馬、54と引、33飛不成、21玉、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉、22龍、同玉、66馬、55と左上、23飛、31玉、32歩、同玉、33飛不成、21玉、43馬、12玉、32飛成、22飛合、34馬、13玉 で、7.3図になります。 この「45歩」配置がポイントです。 8図でいきなり「35馬・・・」と右馬鋸を企むと24桂合をされて、以下かなりの追い回しが可能ですが、最終的には7.1図の「45桂」が打てないので不詰めです。 また8図の工夫した点はA87馬です。 ここを98馬とすると、将来「馬×馬」で取るべき目標の歩が無くなると言うトリックです。 1歩消費型馬鋸だから出来た手順です。 上の仮想作意は、左馬鋸の76-98ライン移動時期が、BでもCでも良いと言う非限定がありますが、これには目をつぶりました。 87馬トリックをよりカモフラージュするため、左馬を左下隅でもう少し動かすことにしました。 それに少々の序をつけて。 それが9図(完成図) 手数を延ばすだけならもっと逆算が可能ですが、長手数を目的にしたものではないのでここで逆算をうち切りました。 |
9図・「木星の旅」完成図 ![]() |
実は9図で27成香、49成銀、69銀の3枚の配置には不満を持っていました。 しかし、完成したとき、ちょっと駒配置を変えてその挙げ句に不完全になる、と言うことが今までにもあったため、9図の推敲をためらいました。 と言うより、9図に至るまで結構検討を平行して創作してきたので、またまたの推敲検討が億劫になったと言うのが本音です。 9図は私のパソコンでは300時間、柿木5様を走らせても解図出来なかったのです。 その上での推敲検討となると、後どれくらい時間がかかることやら・・・ 9図を完成図として、最終検討です。 要所を区切ってパソコンで検討します。 どうやら余詰めはなさそう・・・。 しかし問題は、不詰めの検討です。 何しろ、私のパソコンでは9図から解けないのはもちろん、途中の1変化ですら解けないものがあったくらいですから。 そして平成15年6月16日、遂に第2次検討終了。不完全部分は見つかりませんでした。 1図を得てから17年10ヶ月目のことでした。 いやいや、さらに念には念を入れて検討です。 7月:詰将棋全国大会を羨ましく思いながら 8月:科学の祭典全国大会を欠席して 最終検討終了! スタンリー・クーブリックの「2001 宇宙の旅」に思いを寄せて、「木星の旅」と命名しました。 木星の旅 解答 平成15年9月 詰将棋パラダイス投稿 平成16年4月 詰将棋パラダイス大学院掲載 平成17年4月 詰将棋パラダイス半期賞 受賞 平成17年7月 平成16年度 詰将棋看寿賞 長編賞 受賞 |