しいたけは普通、コナラやクヌギなどの広葉樹を長さ90cm〜1m位に切ったもの(原木・ゲンボクと呼びます)にドリルで穴を開けて菌を植え付けて栽培管理します。半年〜2年くらいできのこが出るようになります。原木に菌を植え付け、半年〜2年くらい経過して、きのこがでるようになった物を「ホダ木」と呼びます。その後、きのこは品種によっては数年間〜10年近くも発生し続けます。(1)原木と種菌、そして道具を用意して菌を植え付けます。
原木と種菌はホームセンターなどでも売っています。原木を買うときの注意・・・しいたけ菌は生きている原木(枯れていない木)に穴を開けて植え付けます。ホームセンターなどで打っている原木は、乾燥したところに長期間置くため、乾きすぎまたは、枯れている場合があります。原木内部の水分が少なすぎたり、枯れていたりすると菌を植え付けても活着しないで死んでしまうことがあります。原木がちょうど良い水分を持っているかどうかは、外側から見ただけでは解りづらいです。もし原木を買った場合、深さ2〜3cmの穴を開けてみて下さい。穴の中を見て「材」の部分の色でだいたいの見当をつけることができます。「材」の部分が白〜薄い肌色の場合は、原木は生きています。水分状態としては、「ちょうど良い〜水分多すぎ」に当たります。茶色の場合はその部分が枯れはじめていることを示しています。こうなると「水分が少なすぎる」状態です。また、表皮にナイフなどで軽く傷を付けても解ります。傷を付けた部分に緑色の葉緑体が見えれば原木は生きている(=枯れすぎてはいない)ことになります。しかしこの方法はちょっと難しいかもしれません。種菌を買うとき・・・しいたけ菌にはたくさんの品種があります。品種によってきのこの出る時期や方法が違います。その点を注意して菌を買いましょう。また、しいたけ菌には品種以外に「駒菌」「おが屑菌」などの種類があります。それぞれ栽培法が異なりますが、初心者の方が簡単なのは「駒菌」です。これは「過乾燥」などの環境の変化に強いのでお奨めです。しかし反面、きのこが出るまでに時間がかかる(1年〜1年半)・という欠点もあります。
電気(手動)ドリルとキリが必要です。
電気ドリルは安いものがホームセンターなどでも売っています(1万円くらい)。もちろん家庭用の簡単なドリルでも穴は空きます(仕事は大変ですが・・・)。キリは種駒に合ったサイズのものが必要ですので、種駒を買うとき注意して買いましょう。しいたけ菌の植え付け
原木に穴を開けます。直径は菌の大きさに合わせることをお忘れなく。深さは3〜4cm(駒菌)または2cm(おが屑菌)・原木に穴を開けたところ(直径12.7mm、深さ2.5cm)。材の部分が茶色なのでかなり乾燥してます。
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穴に菌を入れます。この時入れすぎないように。菌の頭が原木の表面と平らになるように。
穴の数は原木の太さによって決めます。
普通太さ10cmの原木で20〜40個くらい。たくさん菌を入れれば、早くホダ木ができます。しいたけ菌は原木の導管方向(縦方向)に早く伸び、横方向や、中心に向かっては遅いです。ですから、原木の縦方向には粗く(1列4〜6個、15〜25cm間隔)植え、円周方向には密に植えます(列間5cmくらい)
(2)ホダ木になるまでの管理
これが難しい。基本的にしいたけ菌に適した環境に置けば、何もしなくてもしいたけ菌が蔓延して行きます。場所が悪いと、どんなにがんばっても骨が折れるだけです。
従って、しいたけ菌に適した場所を用意しましょう。
菌を植え付けた原木を置く場所
(普通の)雨が当たり、直射日光が当たらないで、湿度が適当にある場所・・・が基本です。雑木が混じった松林・・こんな場所があれば最高です。コンクリートやアスファルトの上には置かないで下さい。水たまりも嫌いです。また、地面の上に直接置くと、原木が汚れたり、設置部分が水分過多になります。下草や落ち葉のあるところがよいです。こんなふうに、下草や落ち葉がある所が良いです。また、地面に原木全部を直につけないで風が通るように間を開けて置きます。(地面の灰色に言えるのは、コンクリートではありません、落ち葉です。)
適温・・・15〜28度。 (伸長温度 5〜32度。最適温度25度)
5度以下では生育が止まります(死ぬことはありません)。32度以上の高温が続くと生育が止まり、40度以上の高温が一定時間以上続くと条件によってはしいたけ菌は死にます。
湿度・・・低すぎると雨が当たっても乾くのが早くて、原木が過乾燥になります。家の中で栽培しようとすると、湿度が低すぎて原木にいくら水をかけてもすぐに蒸発してしまい、栽培は難しいです。
直射日光・・・3月から11月までの直射日光は厳禁です。原木の温度が上がり、乾きすぎて、しいたけ菌が死滅します。
原木の管理 第1段階
普通の年であれば、雨が適度にあるので原木への水分補給は、雨で十分です。雨が少なかったら・・・こんなことは滅多にありません。でも、もし、こうなったら、散水すればよいのですが、これが大変。ちょっとくらい散水しても効果はありません。気長に雨を待ちましょう。この時、原木を地伏せにするのも良いです。
雨が多かったら・・・菌を植え付けた原木は生きていますので、「挿し木」と同じ状態になり、原木から芽が出てきたり、カルスが出てきたりすることがあります。こうなったらピンチです。原木を乾かすために原木の下にブロックなどを敷いて地面から離し、上にトタン板のようなものを載せて雨を遮断しましょう。
菌を植え付けて1ヶ月程すると、原木の木口にしいたけ菌が顔を出してきます。これを菌糸紋といいます。白く見えるのが菌糸紋です。
さらに、梅雨の頃になるとこの菌糸紋がたくさん出てきて、木口を覆い尽くすほどになります。この頃になると「褐変」といって、白かった菌糸紋が、茶色く変わってきます。こうなってくればホダ木作りの第1段階は終了です。
原木の管理 第2段階
上の写真のようになれば、原木の中にしいたけ菌がほぼ全域にわたって蔓延した証拠です。1本の原木は5000cc以上の体積がありますが、最初に植え付けた20〜50個のしいたけ菌が200倍以上にも増えたのです!そして第2段階・材の腐朽と、皮の部分の腐朽に移ります。
もっともこの二つは菌の蔓延と平行して進んでいきますから、特に手を加える必要はありません。日本の夏の暑さが材の腐朽を手助けし、梅雨や秋雨が皮の部分を腐朽していきます。
こうして原木全体にしいたけ菌が蔓延し、きのこがでるようになった物を「ホダ木」と呼びます。
いろいろな害菌
原木を管理している間、いろいろな害菌が原木から出てきます。害菌の中にはしいたけにとって致命的なものから、まったく気にしなくても良いものまで様々です。いくつかの害菌を紹介しましょう。(1)青カビ・・・原木表面に付いた、白色〜緑色の綿のようなものです。(白い丸いものは発泡スチロールのフタで、しいたけ菌を植え付けた穴にフタをしたものです)
これには2種類あります。一つはしいたけにとってやっかいなトリコデルマ、もう一つはそれほどでもないペニシリウムです。
トリコデルマ・・・これは大変。しいたけの天敵です。ただし原木表面に付くことは希で、普通、しいたけ菌に直接付きます。種菌の頭の部分や菌糸紋が緑色の綿のようなもので覆われたら一大事です。。これが付いたらそのしいたけ菌はまず死にます。これを防ぐ農薬があるのですが(ベンレート、私の場合にはもちろん農薬は使いません)、目で見て解るようになってから散布しても遅すぎです。そのころにはしいたけ菌は死んでます。こいつは事前に発生しないような管理が必要です。ちなみに上の写真は原木の表面に付いているのでトリコデルマではありません
ペニシリウム・・・抗生物質ペニシリンで有名なやつです。上の写真がそうで、原木の皮の表面に出てきます。これはしいたけにはあまり影響はありません。ただし、こいつが出た原木は乾きすぎです。何も手を打たないとのどが渇きすぎてしいたけ菌は伸長できません。保湿と散水をしましょう。
(2)ゴムタケ・・・触るとゴムのような感じの変な菌です。下の写真の黒いやつがそうです。
こいつは気にすることはありません。むしろ原木の水分状態がちょうど良いことを示してくれる「良い指標雑菌」でもあります。ただこいつが出てから過湿にすると、ゴムタケ自体にトリコデルマが付いて腐ってきます。ゴムタケが出たらこいつが乾いて干からびてしまうくらいの管理をすることが良いです。ちなみにこいつは食べられるそうです。
(3)クロコブタケ・・・木口にうぐいす色の菌紋が出ます。これがクロコブタケです。
私のようなしいたけ専用ハウスで栽培する農家にとってもっともいやな害菌です。原木が乾きすぎたときに出るのですが、こいつはやっかいです。菌の伸びるスピードが速く、木口から侵入してあっという間に原木の中に入っていきます。ホダ木になってから木を切ってみると、切り口面に黒くインクを流したような菌紋が見えます。どこを切っても金太郎飴のように黒く残っています。特にクヌギに出やすく、頭痛の種です。
(3)きのこの発生・・「きのこを出すぞの巻き」をご覧下さい
いよいよきのこが出てきます。品種にもよりますが、菌を植え付けてから半年〜1年半、長かったですね。では、どうすればきのこは出るか?・・・実は品種によって違います。何もしなくても寒くなればきのこが出る品種。ホダ木を水に浸けなければならない品種。そして温度。いろいろあります。
最初にしいたけの種菌を買われるとき、品種名または菌の性質をよく調べて下さい。それによってきのこの出し方が違います。マニュアルに従って、きのこを出す準備をしましょう。
いったんホダ木になれば、この後、1年〜数年間にわたってきのこが出ます。きのこが出ていない間は、上の原木の管理と同じ考え方でホダ木を管理します。
こんな風にきのこが出ます。